様々な活用が期待される 仮想空間「メタバース」とは?

メタバースとは「超越」を意味する「メタ」と「世界」を指すユニバースの「バース」を掛け合わせた造語で、おもに3次元の仮想空間を指します。

アバターとよばれる自分の分身となるキャラクターを仮想空間の中で動かすことができ、同時にアクセスしている他人とコミュニケーションをすることができます。


専用のVR(バーチャルリアリティ)ゴーグルなどを使えば、アバターの視線を通して自分が実際に仮想空間の中にいるような感覚を味わうこともできます。

身近なものとしては、キャラクターになりきってコミュニケーションができるオンラインゲームや、実際に会場にいるような感覚になれるアーティストライブの観覧など、趣味の分野での活用が思い浮かびます。


しかし、メタバースの活用はそれに留まらず、ビジネスの分野での活用もはじまっています。


例えば製薬会社大手のアストラゼネカでは、日本全国67ヶ所あった営業所をすべて廃止し、代わりに仮想空間上のバーチャルオフィスを導入しました。営業時間の合間にパソコンでバーチャルオフィスにアクセスすることで「出勤」することができ、アバターを動かずことで同僚と会話をしたり、仮想空間上の会議室でオンライン会議をおこなうこともできます。

アストラゼネカでは2020年8月から21年4月にかけて営業所の閉鎖を進め、バーチャルオフィスへの移行を完了しました。これにより営業先から会社への移動時間を大幅に節約することができ、生産性を高めることにもつながっているといいます。


また、メタバースによる経済効果も注目されています。


日本のアパレル大手のTSIホールディングスは、専用の仮想空間に街や店舗、広場などをつくることを発表しています。消費者はVRゴーグルやスマートフォンなどで仮想空間にアクセスし、アバターを自由に動かして服などを買うことができます。仮想空間上では実際の販売員がアバターを使って接客し、自分のアバターに商品を着せる「試着」もできます。気に入った服はその場で購入し、自宅に取り寄せることができます。


他にも、旅行や家を借りるときの内見などにメタバースを活用する動きもあります。


メタバースの市場は国内でも世界的にも急拡大しており、ゲームやエンターテイメントの世界に留まらず、大きな可能性を秘めた分野として注目を集めています。